ServiceNow × AIで地域の「つながり」を支援!DTSがHackathon 2026でAIエージェント開発に挑戦
こんにちは、DTSの田中です。
先日、ServiceNow Hackathon 2026が開催され、DTSからは2チームが参加しました。
それぞれ異なるテーマのもと、ServiceNowのAI機能を活用したアプリケーション開発に取り組みました。
ServiceNow × AIを実践で探る!DTSがHackathon 2026に挑戦 | ServiceNow🄬導入支援サービス | DTS 業務改革DXソリューション
そのうち、私たち「わく縁」チームでは、AIエージェントを活用して社会課題の解決を目指すアプリケーションを開発しました。
今回は、アプリケーションにAIを組み込むだけでなく、開発そのものにもAIを活用し、「AIを活用してAIエージェントをつくる」という新しい開発スタイルにも挑戦しました。
本記事では、Hackathonで作成した成果物をご紹介するとともに、AIを活用してどのように開発を進めたのかに焦点を当て、実際の開発の流れや工夫したポイントをご紹介します。
今回挑戦したテーマ
まず、今回私たちがテーマとしたのは、「AIで支える、被災地の『つながり』の再生」です。
大きな災害が発生すると、住居や周辺環境への影響をきっかけに地域を離れる人が増加します。
その後、避難先や移住先での生活が定着することで地域に戻らない人も増え、地域の人口が減少してしまうという課題が発生します。
そこで今回開発したのは、生成AIを活用し、被災者や地域の企業・施設などから寄せられた声を分析して自治体の復興施策を支援するとともに、復興施策や地域イベント、生活支援などの情報を一人ひとりの関心に応じて届けるソリューションです。
地域への帰還を後押しするだけでなく、現在は地域外で暮らしている人にも地域の情報を届け、継続的に関わるきっかけを生み出します。
こうした仕組みによって地域とのつながりを持ち続ける人を増やし、持続的な復興につなげることを目指しました。
作成した成果物をご紹介
今回作成したアプリケーションには、大きく分けて2つの機能があります。
地域課題の分析と復興施策の提案
まず、Virtual Agentとカタログアイテムを利用した対話形式のヒアリングにより、被災者から帰郷への気持ちを聞き取ります。

一方、地域の企業や施設からは、別のカタログアイテムを通して、現在の復旧状況やどのような人材を必要としているか等の情報を受け付けます。
集められた情報をもとにAIエージェントが分析を行い、地域に何が不足しているのか、どのような課題があるのかを整理します。さらにその分析結果から、地元を離れた人の帰郷をどのように後押しできるか、あるいは地域とのつながりを維持してもらえるかを考え、自治体に施策を提案します。
分析結果や各種状況はダッシュボードに集約し、自治体の担当者が一目で確認できるようにしました。

これにより、個々の声を確認するだけでは把握しづらかった地域全体のニーズを可視化し、復興施策の検討に活用できる仕組みを目指しました。
一人ひとりに合わせた地域情報の通知
企業や施設、自治体から、ボランティア募集や地域イベントなどの情報を投稿すると、それらはナレッジとして被災者に公開されます。
AIエージェントは利用者へのヒアリング結果と公開されているナレッジを照らし合わせてマッチングを行い、利用者の関心や状況にあった情報を通知します。
これにより、利用者自身が数多くの情報の中から探すのではなく、自分に関係のある地域の情報を受け取れる仕組みとしました。
このように今回のアプリケーションでは、AIエージェントを中心として、利用者へのヒアリング、情報の分析、施策の提案、マッチングといった複数の処理を実現しています。
そして、これらの機能を短期間で形にするうえで大きな役割を果たしたのが、「Build Agent」です。
Build Agentは、自然言語による指示(プロンプト)をもとに、テーブルやスクリプト、フローなどをServiceNow上に構築し、アプリケーション開発を支援するAI機能です。
今回の開発では、特にAIエージェントを構築する場面で活躍しました。では、実際にどのようにAIエージェントを構築したのか、次章で詳しくご紹介します。
実装方法を解説
AIエージェントの開発は、大きく「Build Agentへの指示 → 生成 → 修正指示 → AI Agent Studioでの確認 → 完成」の5つのステップで進めました。
Step1:Build Agentへの指示
まず実現したい機能を整理したうえで、Build Agentへ指示しました。今回はプロンプトを英語で作成しました。
ここで意識したのは、単に「Agentを作成して」と依頼するのではなく、「どのデータを利用するか」「AIに何を判断させるか」「最終的に何を実行するか」までをプロンプトに含めることです。
例えば、一人ひとりに合わせた情報通知機能においては、求人・施設・自治体施策などの地域情報と元住民のヒアリング結果を照合し、帰郷の可能性が高まった対象者を特定・通知する、という要件を入力しました。
▼Build Agentと対話的に開発をしている様子

Step2:Build Agentによる生成
入力した要件をもとにBuild Agentで実装のベースを生成しました。
今回の通知機能における情報のマッチング処理では、複数のエージェントを用意し、「地域の変化を分類するエージェント」、「被災者との適合性を判断するエージェント」、「通知を担当するエージェント」などと役割を分けました。
一つずつ0から作るのではなく、まずはひな形を作成し、それをもとに各エージェントへと発展させるという手順をとることにより、効率的に開発を進めることができました。
Step3:Build Agentへの修正指示
一度の生成で完成するわけではありません。生成結果を確認し、要件と異なる部分があった場合や、改善点を思いついた場合などは、追加でBuild Agentに修正指示を行いました。
「指示 → 生成 → 確認 → 修正」のサイクルを繰り返しながら、徐々に完成度を高めていきました。
Step4:AI Agent Studioでの確認
生成・修正したAgentは「AI Agent Studio」で実際に動作確認を行いました。
テストデータを使用し、期待した判断ができるか、適切なTool(テーブルの検索実行など)を呼び出せるか等をAgent単位で確認します。
想定と異なる場合は、Build Agentを使用した修正に戻ります。
▼AI Agent Studioにおけるテスト実行の様子

Step5:完成
最後に各AgentをAgentic Workflowとして連携させ、地域情報の変化の取得 → 分類 → 被災者とのマッチング → 条件判定 → 通知までを一連のシナリオとしてテストしました。
問題があれば再び修正・テストを行います。このように、生成・確認・修正を繰り返しながら完成度を高めていきました。
生成AIの出力はランダムであるため、想定通りの結果を安定して出力するように調節するのは大変でした。
AI開発で苦労したポイント、工夫したポイント
今回の開発で最も苦労したのは、「AI Agentに任せるか、ルールベースの処理(Flow、Subflow)を利用するか」を決めることでした。
開発当初は、できるだけ多くの処理をAI Agentに任せようと考えていました。しかし実際に開発を進めてみる中で、AIが適している処理と、ルールベースが適している処理があることが分かりました。
そこで、ヒアリング内容の把握や、地域情報との関連性の把握など、答えが一つに決まらず、状況に応じた判断が必要な処理はAI Agentに任せました。
一方で、決められた条件に基づくチェックや、確実に実行する必要がある処理については、FlowやSubflowを利用しています。
もう一つ工夫したポイントは、AI Agentごとの役割を明確にしたことです。一つのAgentに多くの仕事を任せるのではなく、「分類エージェント」「マッチングエージェント」「通知エージェント」と役割を分け、それぞれが必要なToolを使って処理する構成にしました。
今回の開発を通じて、AI Agentはすべての処理を任せればよいものではなく、AIが得意とする「考える・判断する」部分に集中させることが重要だと感じました。
AI Agentによる柔軟な判断と、ルールベースによる確実な処理。それぞれの強みを生かし、適切に組み合わせたことが、今回の開発で最も工夫したポイントでした。
おわりに
今回のHackathonでは、AIエージェントを活用して社会課題の解決に挑戦するとともに、Build Agentを使ったAI開発にも取り組みました。
実際に開発する中で、AIにすべてを任せるのではなく、AIが得意な判断と、FlowやSubflowによる確実な処理を適切に組み合わせることの重要性を学びました。
今回得た知見を、今後のServiceNow開発にも活かしていきたいと思います。
デモ動画の紹介
今回ご紹介した成果物の実際のデモ動画です。ご興味のある方はぜひご覧ください。
World Forum Tokyo 2026・Hackathon決勝のご案内
「World Forum Tokyo 2026」は、2026年10月27日(火)・28日(水)にグランドプリンスホテル新高輪で開催されます。
ServiceNowの最新テクノロジーやAIをテーマとしたセッションをはじめ、さまざまなプログラムが予定されています。
Hackathonの選考を通過したチームは、10月28日(水)にWorld Forum Tokyoで開催される決勝へ進出します!
私たちの挑戦が決勝の舞台へとつながるのか、ぜひ今後の展開にもご注目ください!
World Forumは昨年度1万人の参加者を超える注目度の高いイベントです。少しでも興味のある方はぜひ、ご参加ください。
▼ World Forum Tokyo 2026の詳細・参加登録はこちら
「World Forum 2026 | 東京 10月27日-28日 - ServiceNow」