DTSの気候変動への取り組み

世界的な気候変動の深刻化を受け、当社グループでは、気候変動への対応を最も重要な環境課題と位置づけ、パリ協定に基づき温室効果ガス(以下、GHG)排出量の削減に取り組んでいます。長期展望「Vision2030」では、2030年までにScope1およびScope2排出量をネットゼロとする目標を掲げ、カーボンニュートラルの実現を目指しています。
さらに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同し、TCFDフレームワークに沿って取り組みの進捗を開示するとともに、気候変動に関する取り組みを強化して脱炭素経営を推進しています。
このような取り組みが評価され、国際的な環境非営利団体CDPによる気候変動レポート2024において、最高評価となる「Aリスト」企業に選定されました。

ガバナンス

当社グループは、コーポレート統括責任者をトップマネジメントとする環境マネジメントシステムを構築しています。2022年にESG推進部(現サステナビリティ推進部)を新設し、グループ全体の気候変動への対応や徹底した環境負荷削減の取り組みを推進しています。
気候変動への対応やカーボンニュートラル実現に向けた進捗状況については、定期的に取締役会、サステナビリティ委員会に報告されています。

戦略

気候関連のリスク・機会が当社グループの事業、戦略、財務等に及ぼす影響を把握するため、TCFD提言に沿った気候変動シナリオ分析を行いました。低炭素、脱炭素の取り組みにより産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑制する世界と、化石燃料に依存しGHG排出量が増加し続けることで気温上昇が4℃を超える世界の2つのシナリオを想定、リスクと機会の分析を行いました。

<1.5℃シナリオ>
低炭素、脱炭素に対する社会的気運がより一層高まる1.5℃の世界では、炭素税などの新たな規制導入によるコスト増加や、投資家等からの気候変動に関する情報開示要請に対して、当社グループの対応に遅れが生じたり、不透明な情報開示を行ったりする場合に企業評価が低下するリスクを想定しました。一方で、当社グループが気候変動への対応が十分にできた場合、顧客のサステナビリティ調達における優位性が得られ、業績によい影響をもたらすと想定しました。
<4℃シナリオ>
大型台風や集中豪雨などの自然災害が激甚化、頻発化するとされる4℃の世界では、当社グループの事業拠点への浸水被害等により生産活動が一時的に停止するリスクがあります。このリスクに対して企業の事業継続計画(BCP)の観点で災害対策としてのクラウド導入のニーズがあり、今後もクラウド関連ビジネスの拡大が期待されます。

気候関連リスク・機会

シナリオ 分類 リスク・機会
およびその影響
時間軸※1 2030年の
財務影響(推計)※2
当社の対応
1.5℃ 移行リスク
(規制)
炭素税導入に伴うコスト増加 中期 コスト
増加
販管費
+27百万円
  • 再生可能エネルギーの調達(電力契約の切替、環境価値証書の活用)によるGHG排出量削減
  • LED照明など設備更改によるオフィスの省電力化
移行リスク
(評判)
投資家等からの気候変動関連の情報開示要請に対応できないことによる評価の低下 中期 株価
低下
株式時価総額
▲17.3億円
  • 気候変動への対応、情報開示を積極的に行うため、専任組織およびサステナビリティ委員会を設置
  • 投資家との対話促進
機会
(市場)
当社の気候変動への対応が十分にできた場合、顧客のサステナビリティ調達における優位性が得られ、売上が増加 中期 売上
増加
売上高
+2~4億円
  • 顧客との対話を十分に行い、気候変動に関連する要請に対応
4℃ 物理リスク
(急性)
大型台風や集中豪雨などの自然災害が頻発し、浸水などにより事業活動が停止 短期 コスト
減少
売上高
▲16.8億円
  • 災害時におけるシステム環境維持や初動対応を迅速に行うための対策、訓練の実施
  • 社員のリモートワーク環境の確立
機会
(製品・
サービス)
増加する激甚災害への対策として需要が高まるクラウド関連ビジネスの拡大 中期 売上
増加
売上高
+26.2億円
  • BCP に貢献する業務に合わせたサービスの提案力を高め、顧客ニーズに応える
  • 人材投資により、クラウド関連技術者やクラウド高度化に備えた人材を育成

※1 短期:1年以内、中期:1年超~3年以内、長期:3年超

※2 2024年3月期データをもとに算出

リスク管理

当社のリスク管理について定めた「リスク管理規程」においては、気候関連リスクをサステナビリティリスクと区分し、事業に関わるリスクの一つとしてリスクマネジメント委員会で統括管理しています。

指標と目標

当社グループは、長期展望「Vision2030」のもと、2030年にScope1、Scope2排出量ネットゼロとする目標を設定し、また、Scope3排出量においても基準年度(2022年3月期)比50%削減することを目指しています。この目標は、2024年2月に国際的なイニシアチブであるSBT(Science Based Targets)の認定を受けています。
2025年3月期の進捗状況は、Scope1,2に関しては基準年度である2022年3月期から約33%削減、Scope3に関しては約34%削減となり、2030年に向けて順調に推移しています。

GHG排出量削減目標

GHG排出量分類 2030年目標(SBT) 2050年目標
Scope1,2 ネットゼロ ネットゼロ
Scope3 50%削減(2022年3月期比) ネットゼロ